保育士の転職|知るべき3つの保育園運営主体|メリット・デメリットをプロが解説

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・社会福祉法人が運営している保育園がオススメって聞いたけど本当?
・株式会社が運営している保育園は良くないって聞いたけど本当?
・社会福祉法人?学校法人?何がどう違うのかよくわからない…

保育園を運営する法人の種類は、保育士さんの働く環境にも大きく影響します。私はこれまで5年以上保育業界で働きながら、100以上の保育施設と仕事をしてきました。

そこでこの記事では、設置主体の特徴やメリット・デメリットを詳しく解説しています。この記事を読めば、転職を考える保育士さんが選ぶべき保育園の運営主体が分かります。はじめにこの記事の結論をお伝えします。

この記事の結論

▶︎転職するなら次の組み合わせがおすすめ

  • 複数の保育施設を運営する社会福祉法人
  • 保育園の種類は認可保育園

一般的なおすすめは上のとおりですが、ワークライフバランスを重視する保育士さんには「企業内保育所」がおすすめです。

企業内保育所の詳細はこちらの記事で解説しています。
▶︎企業内保育所の求人を探すコツ3選|メリット・デメリットから種類までプロが徹底解説!

保育園の種類や特徴はこちらの記事で解説しています。
▶︎【転職を考える保育士さん必読】知っておくべき保育園の種類と特徴【プロが解説】

目次(タップするとジャンプ)

知っておくべき3つの保育園運営主体

2000年に保育園を設置するための規制が緩和され、さまざまな法人が保育園を設置できるようになりました。以前は社会福祉法人と区市町村しか保育園を設置できなかったため、今でもこの2つの法人が設置した保育園が多くなっています。

保育園設置主体の比率は次のとおりです。

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順位種類比率
1位社会福祉法人52.26%
2位区市町村38.12%
3位株式会社5.38%
4位学校法人1.53%
出典:保育所の設置主体別認可状況等について

区市町村が設置する公立保育園の詳細はこちらの記事で解説しています。
▶︎【どっちが正解?】公立保育園と私立保育園の違い|働く保育士さんのメリット・デメリット

社会福祉法人とは社会福祉のためのサービスを提供する法人

社会福祉法人の目的は「社会福祉の向上」です。そのため、社会福祉法人は利益の追求を目的にしていません。社会福祉法人が運営する保育園以外の施設には次のようなものがあります。

社会福祉法人が運営する施設例
  • 老人ホーム
  • 老人デイサービス
  • 乳児院

株式会社とは営利目的の事業を運営する法人

株式会社の目的は「利益追求」です。株式会社には事業の制限はありません。

株式会社の保育園は特に都市部に多いです。待機児童問題を解消するため、都市部に多く作られたことが理由です。

学校法人とは私立学校の運営を目的とした法人

学校法人の目的は「私立学校の運営」です。そのため、「保育の専門学校を運営している施設が保育園も運営する」といったパターンも多いです。

管理人

学校法人は、幼稚園や認定こども園を運営していることが多いです。

保育園運営主体を項目別に比較

私立保育園を設置している法人のトップ3は次のとおりです。

保育園設置法人トップ3
  1. 社会福祉法人
  2. 株式会社
  3. 学校法人

これらの法人を項目別に比較し、働く保育士さんにとって良い法人はどれなのか考えてみます。

管理人

筆者のこれまでの経験を基に、独断と偏見で比較します。

比較項目
  • 設備
  • 税制優遇
  • 働いている保育士さんの特徴
  • 業務の効率化
  • 人件費支出の割合
  • 経営体制
  • 給料

設備

社会福祉法人が設置する保育園には歴史がある保育園が多いです。施設が古い分、設備も老朽化していることが多いです。一方、株式会社や学校法人が設置する保育園には最近できた施設が多いため、設備が新しい施設が多いです。

管理人

複数の保育園を運営している株式会社の場合、保育施設を設計するノウハウも豊富なため、設備が充実していることが多いです。

税制優遇

法人の種類によっては税制が優遇されていることがあります。税制優遇とは法人が収める税額を少なくしてもらうことを指します。

税制優遇を受けられる法人の方が、より保育園の設備投資や人件費にお金を使えることになります。

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種類税制優遇
社会福祉法人あり
株式会社なし
学校法人あり

社会福祉法人や学校法人は福祉サービスや教育といった公益性の高い事業を行います。そのため、税制が優遇されています。

一方、株式会社は「利益追求」を目的とした法人なので、税制優遇の対象外になっています。

管理人

税制優遇を受けられないのは株式会社のデメリットです。

働いている保育士さんの特徴

社会福祉法人

社会福祉法人が設置する保育園には歴史がある保育園が多いため、ベテラン保育士が多くなる傾向にあります。ベテラン保育士が多い園は運営が安定していることが多いです。ただし、ベテラン保育士が多くなる分、力の強い保育士さん(いわゆるお局さま)が生まれやすくなります。

株式会社・学校法人

株式会社や学校法人が設置する保育園は、保育士さんの平均年齢が低い傾向にあります。特に設置されたばかりの保育園は株式会社が運営母体であることが多いです。

ベテラン保育士より経験が浅い保育士さんの方が採用しやすいため、結果的に新しい保育園の平均年齢は低くなる傾向があります。

管理人

ベテラン保育士さんが多い園の方が、若い保育士さんは成長しやすいです。

経営体制

保育園によっては経営者とその家族が保育園を所有し、経営していることがあります。いわゆる「家族経営」の保育園です。家族経営には次のデメリットがあります。

家族経営のデメリット
  • 経営者の親族が優遇される
  • 仕事ができなくても親族だと優遇される
  • 親族の職員に気をつかう必要がある

特にひとつの保育園を運営している社会福祉法人は家族経営であることが多いです。家族経営のデメリットは、複数の保育園を運営している社会福祉法人の方が薄くなりやすいです。

業務の効率化

社会福祉法人

家族経営でトップが高齢の場合、業務の効率化が進んでいないことが多いです。業務効率化の主な手段としては保育システムの導入があります。残念なことに、経営者が高齢だとデジタル機器の導入に理解が得られないことも多いです。

管理人

デジタル機器の導入に後ろ向きな経営者は、手作業へのこだわりが強いことも多いです。

株式会社

株式会社は利益追求を目的とした法人です。そのため、業務効率化への意識は社会福祉法人より高いことが多いです。

人件費支出の割合

法人の種類ごとの人件費支出の割合は次のとおりです。

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法人の種類社会福祉法人学校法人営利法人(株式会社など)
人件費支出の割合71.4%65.8%56.4%
出典:幼稚園・保育所等の経営実態調査

社会福祉法人・学校法人

社会福祉法人や学校法人には税制優遇があるため、株式会社が設置する保育園より人件費支出の割合が高くなる傾向にあります。そのため、制度の仕組みからいえば社会福祉法人や学校法人が運営する保育園の方が保育士さんのお給料は高い可能性があります。

人件費支出の割合とは

保育園を運営する費用のうち、どのくらいのお金を人件費(職員のお給料)に使っているかを示したものです。人件費支出の割合が高いほど、多くのお金を職員のお給料に使っていることになります。

株式会社

株式会社は税制優遇がないため、社会福祉法人や学校法人と比べると税金の負担が大きいです。そのため、株式会社の人件費支出の割合は社会福祉法人や学校法人より低くなります。

給料

情報が古いのであくまで参考ですが、経営主体別の月給を国が公表しています。

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職種社会福祉法人
給与月額
社会福祉法人
平均勤続年数
学校法人
給与月額
学校法人
平均勤続年数
営利法人
給与月額
営利法人
平均勤続年数
施設長547,834円25.3年395,806円11.7年346,324円10.4年
保育士(常勤)258,901円10.4年217,167円5.4年227,781円4.1年
その他職員(常勤)295,704円12.4年231,901円6.0年247,246円5.3年
出典:幼稚園・保育所等の経営実態調査

転職する保育園を選ぶときは、補助金を積極的に活用している施設を選ぶことが重要です。特に必ず活用すべき補助金は次のとおりです。

必ず活用すべき補助金
  • 処遇改善等加算
  • 保育士等キャリアアップ補助金
  • 宿舎借り上げ支援事業

これらの補助金の詳細は次の記事で解説しています。
▶︎【いつまで続く?】保育士宿舎借り上げ支援事業をプロが徹底解説!【転職を考える方必見】
▶︎【給料が安い?】保育士さんが知っておきたい給料引き上げ制度【転職を考える方必見】

保育園運営主体の特徴まとめ

知っておくべき保育園運営主体の特徴は次のとおりです。

社会福祉法人

社会福祉法人の目的は「社会福祉の向上」です。そのため、社会福祉法人は利益を追求しません。

株式会社

株式会社の目的は「利益追求」です。株式会社には事業の制限はありません。株式会社の保育園は特に都市部に多いです。待機児童問題を解消するため、都市部に多く作られたことが理由です。

学校法人

学校法人の目的は「私立学校の運営」です。そのため、「保育の専門学校を運営している施設が保育園も運営する」といったパターンも多いです。

法人の特徴などを比較は次のとおりです。

比較項目社会福祉法人学校法人株式会社
設備古い施設が多い新しい施設が多い新しい施設が多い
税制優遇ありありなし
働いている保育士ベテランが多い若い人が多い若い人が多い
業務の効率化遅れていることが多いどちらとも言えない進んでいることが多い
人件費支出の割合高い高い低い
経営体制家族経営が多いどちらとも言えない大規模経営が多い

「特徴はわかったけど、結局どこを選べばいいのか分からない!」という方は、以下の保育園を選ぶことをおすすめします。

おすすめの保育園

▶︎転職するなら次の組み合わせがおすすめ

  • 複数の保育施設を運営する社会福祉法人
  • 保育園の種類は認可保育園

保育園の求人の探し方は次の記事で解説しています。
▶︎【保育士の転職】おすすめの求人の探し方5選|失敗しない方法を業界のプロが解説

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