- お給料をアップさせたい!
- キャリアアップ研修を受けなきゃいけないって聞いたけど、いつまでに受けなきゃいけないの?
- キャリアアップ研修ってどんな研修なの?
この記事では保育士さんのこのような悩みを解決します。
制度を詳しく知らないために損をしている保育士さんは多いです。特に「キャリアアップ研修」はお給料アップに直結するため、保育士さんが必ず知っておくべき制度です。
私はこれまで5年以上保育業界で働きながら、100以上の保育園と関わってきました。そこでこの記事では、キャリアアップ研修について、保育士さんが必ず押さえておくべきポイントを解説しています。
この記事を読めば、キャリアアップ研修を活用するコツがわかるはずです。
キャリアアップ研修を受講する3つのメリット
キャリアアップ研修の受講には3つのメリットがあります。
- お給料アップにつながる
- スキルアップにつながる
- 転職・復職するときも有効
お給料アップにつながる
キャリアアップ研修の受講は、「処遇改善等加算Ⅱ」の対象になるための条件です。「処遇改善等加算Ⅱ」は、保育士さんのお給料をアップしてくれる制度です。そのため、キャリアアップ研修の受講は、保育士さんのお給料アップにつながります。
ショグウカイゼントウカサン?なんだか難しそう…
「処遇改善等加算Ⅱ」については後ほど解説しますね。
スキルアップにつながる
日々の保育に役に立つ研修内容なので、保育士としてのスキルアップにつながります。
スキルアップすれば、保育がもっと楽しくなるかも。
転職・復職するときも有効
キャリアアップ研修の修了証は全国で有効です。たとえば、東京都で受講したキャリアアップ研修の修了証を沖縄県の保育園で使うことも可能です。しかも、修了証には有効期限がありません。
一度受講すればこの先ずっと使えるってことね。
そのとおりです。転職や復職するときも、キャリアアップ研修の修了証があれば有利になります。
キャリアアップ研修は処遇改善等加算Ⅱの対象になるための条件
処遇改善等加算Ⅱは、国が作った「保育士さんの給料をアップさせる制度」です。処遇改善等加算Ⅱでは、新しい役職を作ることで保育士さんの給料をアップさせます。
処遇改善改善等加算Ⅱを活用するかは保育園が決めることになります。
処遇改善等加算Ⅱを活用すると、どんな役職が増えるの?
処遇改善等加算Ⅱを活用することで、保育園の役職は次のように増えます。
処遇改善等加算Ⅱを活用していない保育園の役職 |
---|
園長 |
主任保育士 |
保育士 |
処遇改善等加算Ⅱを活用している保育園の役職 |
---|
園長 |
主任保育士 |
NEW!▶︎ 副主任保育士・専門リーダー |
NEW!▶︎ 職務分野別リーダー |
保育士 |
処遇改善等加算Ⅱを活用している保育園では、主任保育士と保育士の間に役職が2段階(3種類)追加されています。追加された役職の保育士さんのお給料には手当がつきます。
私が働いている保育園には「クラスリーダー」っていう役職があるよ。
表の役職名(「副主任保育士」など)は国が作った役職名です。実際には、違う役職名をつけて運用している保育園も多いです。
役職につくと手当がもらえるのは分かったけど、ほかにはどんな違いがあるの?あと、手当はどのくらいもらえるのかな?
役職ごとに次の内容が変わります。具体的な手当の額は以下の表をみてください。
- お給料アップ額(月額)
- 経験年数の目安
- 受講が必要なキャリアアップ研修の数(令和5年度以降必須化)
- 上限人数(保育園で何人までその役職に就けるか)
役職名 | 手当額(月額) | 経験年数 | キャリアアップ研修の必要数 | 上限人数 |
---|---|---|---|---|
副主任保育士・専門リーダー | 40,000円(基準額) | だいたい7年以上 | 4つ以上 ※副主任保育士はマネジメント研修必修 | 職員数のだいたい1/3 |
職務分野別リーダー | 5,000円(基準額) | だいたい3年以上 | 担当分野1つ以上 | 職員数のだいたい1/5 |
副主任保育士だけど毎月40,000円も手当をもらってないよ!おかしい!
実は最終的な手当の額が保育園が決めています。ただし、手当の額を減らしているわけではなく「配分」を行なっています。また、職務分野別リーダーの手当額が5,000円より安くなることはないです。
1人の副主任保育士に40,000円を支給するのではなく、副主任保育士を2人にして20,000円ずつ支給するといったことがよくあります。
お給料引き上げ制度については以下の記事で詳しく解説しています。
【給料が安い?】保育士さんが知っておきたい給料引き上げ制度【転職を考える方必見】
重要なのは「処遇改善等加算Ⅱを活用していない保育園もある」ということです。
処遇改善改善等加算Ⅱを活用していない保育園もあるの?
処遇改善等加算Ⅱを活用するかは保育園が決めることになっているので、なかには活用していない保育園もあります。
処遇改善等加算Ⅱを活用していない保育園は、キャリアアップ研修の受講に興味がないことが多いです。これから転職する保育士さんは、必ず処遇改善加算Ⅱを活用している保育園を選ぶことをおすすめします。
保育園の選び方は以下の記事で詳しく解説しています。
【永久保存版】保育士が転職すべき保育園の選び方【プロが教える13のチェックポイント】
キャリアアップ研修は令和5年度(2023年4月)から段階的に必須化される
今後、キャリアアップ研修を受けていない保育士さんは処遇改善等加算Ⅱの対象外になります。キャリアアップ研修は令和5年度(2023年4月)から段階的に必須化されていく予定です。
令和5年度からすこしずつ条件が厳しくなっていくのね。
令和5年度(2023年4月)までは、研修を受けていなくても処遇改善等加算Ⅱの対象になれます。
例えば、今の役職が「副主任保育士」で、キャリアアップ研修を受けずに「処遇改善等加算Ⅱ」の手当をもらっていても制度上は問題ありません。ただし、保育園が研修計画を作っていて、キャリアアップ研修を受けるよう指示がある場合は園の指示に従っておく方がよいです。
園の指示がなくても、できるだけ今のうちから研修を受けておくことをおすすめします。
令和4年度末(2023年3月)までに研修を受けなかったからといって、辞めるときにもらっていた処遇改善等加算Ⅱの手当を保育園に返す必要はないです。もちろん「キャリアアップ研修を受講するまで保育園を辞められない」ということもありません。
信じられない話ですが、保育園からこのような要求があったという話があるので気をつけてください。
キャリアアップ研修の取り扱いは保育園によって違う
キャリアアップ研修を業務の一環で受けさせてくれるかは保育園によって違います。キャリアアップ研修の取り扱いは、だいたい以下の3パターンに分かれることが多いです。
- 業務内での受講
- 業務外での受講(有給休暇を活用しての受講)
- そもそもキャリアアップ研修の制度を知らない
保育園がキャリアアップ研修の制度を知らないことなんてあるの?
信じられないかもしれませんが、キャリアアップ研修の制度を知らない保育園も存在します。
制度を知らない保育園は、処遇改善等加算Ⅱを活用していない園に多いです。万が一、今働いている保育園がキャリアアップ研修のことをよくわかっていない場合、転職をおすすめします。保育士さんに研修を受けさせる気がない保育園はブラック保育園だと言わざるを得ません。
保育園の選び方は以下の記事で詳しく解説しています。
【永久保存版】保育士が転職すべき保育園の選び方【プロが教える13のチェックポイント】
キャリアアップ研修の受講料は原則無料
キャリアアップ研修の対象職員は無料で受講が可能です。ただし、以下の費用が発生する場合があります。
- 教材等の費用(2,000円前後・無料の場合もある)
- 研修会場までの交通費(オンラインの場合は不要)
これらの費用は保育園が負担してくれることもありますが、対応は保育園によって違います。保育士さんに負担させる保育園もあるのが実情です。
仕事の研修にお金を使うのはちょっと嫌だな。
キャリアアップ研修の受講はメリットが多いです。少しお金がかかっても、受講しておくことをおすすめします。
キャリアアップ研修の受講対象は「専門分野のリーダー的な役割を担う職員」
キャリアアップ研修の対象になる方
キャリアアップ研修の対象は「保育所等の保育現場で、それぞれの専門分野に関してリーダー的な役割を担う方」です。
基本的には、処遇改善等加算Ⅱの対象職員が保育士等キャリアアップ研修の対象です。ちなみに、今は処遇改善等加算Ⅱの対象職員になっていなくても、今後対象になる可能性がある方もキャリアアップ研修を受けることができます。
園長・主任保育士も受講料を払うことで受講可能
園長・主任保育士は処遇改善等加算Ⅱの対象外ですが、キャリアアップ研修の受講は可能です。ただし、対象職員と比べると以下のデメリットがあります。
- 研修を受けるのに受講料が発生する
- 対象職員より受付の優先順位が低くなる
受講料は研修実施機関(専門学校など)によって違います。だいたい10,000円〜20,000円くらいが多い印象です。
ほとんどの実施機関が対象職員を優先して受付を行なっています。そのため、対象職員で定員が埋まってしまった場合、園長・主任保育士は対象外になることがあります。
まれに園長・主任保育士も公平に受付している実施機関もあるようです。
保育士等キャリアアップ研修の内容
キャリアアップ研修は大きく以下の3つに分かれています。
- 専門分野別研修
- マネジメント研修
- 保育実践研修
専門分野別研修
専門分野別研修は、基本的に必ず受けることになる研修です。専門分野別研修は6つの分野に分かれています。
専門分野別研修は、自分の専門分野を選択して受講します。
保育所等の保育現場において、それぞれの専門分野に関してリーダー的な役割を担う者(当該役割を担うことが見込まれる者を含む。)
分野 | 内容 |
---|---|
1 乳児保育 (主に0歳から3歳未満児向けの保育内容) | ・乳児保育の意義 ・乳児保育の環境 ・乳児への適切な関わり ・乳児の発達に応じた保育内容 ・乳児保育の指導計画、記録及び評価 |
2 幼児教育 (主に3歳以上児向けの保育内容) | ・幼児教育の意義 ・幼児教育の環境 ・幼児の発達に応じた保育内容 ・幼児教育の指導計画、記録及び評価 ・小学校との接続 |
3 障害児保育 | ・障害の理解 ・障害児保育の環境 ・障害児の発達の援助 ・家庭及び関係機関との連携 ・障害児保育の指導計画、記録及び評価 |
4 食育・アレルギー対応 | ・栄養に関する基礎知識 ・食育計画の作成と活用 ・アレルギー疾患の理解 ・保育所における食事の提供 ガイドライン ・保育所におけるアレルギー 対応ガイドライン |
5 保健衛生・安全対策 | ・保健計画の作成と活用 ・事故防止及び健康安全管理 ・保育所における感染症対策ガイドライン ・保育の場において血液を介して感染する病気を防止するためのガイドライン ・教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン |
6 保護者支援・子育て支援 | ・保護者支援・子育て支援の意義 ・保護者に対する相談援助 ・地域における子育て支援 ・虐待予防 ・関係機関との連携、地域資源の活用 |
マネジメント研修
マネジメント研修は「副主任保育士」の役職に就く保育士さんが必ず受ける研修です。
副主任保育士さんは、マネジメント研修の受講が必須です。
専門分野におけるリーダー的な役割を担う者としての経験があり、主任保育士の下でミドルリーダーの役割を担う者(当該役割を担うことが見込まれる者を含む。)
- マネジメントの理解
- リーダーシップ
- 組織目標の設定
- 人材育成
- 働きやすい環境づくり
保育実践研修
保育実践研修は現役の保育士さんを対象としたものではありません。以前保育士として働いていてブランクがある方や、保育士資格を取得したけど実務経験がない方を対象とした研修です。
現役保育士さんは、保育実践研修の受講は不要です。
保育所等の保育現場における実習経験の少ない者(保育士試験合格者等)又は長期間、保育所等の保育現場で保育を行っていない者(潜在保育士等)
- 保育における環境構成
- 子どもとの関わり方
- 身体を使った遊び
- 言葉・音楽を使った遊び
- 物を使った遊び
1分野の受講に15時間かかる
1分野の受講にかかる時間は15時間です。そのため、ほとんどが2日間の研修日程になっています。
今はオンラインでの受講も多いです。オンライン受講の場合、自分の好きな時間にスマートフォンなどで受講できるものもあるようです。
キャリアアップ研修って時間がかかる研修なんだね。
役職者になるための研修なので、時間はかかります。時間があるうちに計画的に受講しておきましょう。
受講後にレポートの提出が必要になる
受講後、研修内容についてのレポート提出が必要になります。研修受講中に、気づいたことや今後の保育に役立てたいと思った内容はメモしておきましょう。
メモをとっておくことで、最後のレポート作成がグッとラクになります。
キャリアアップ研修の申込方法
キャリアアップ研修は基本的に保育園経由での申し込みになります。キャリアアップ研修を受講したい方は、まずは働いている保育園へ申し込みできるか確認しましょう。
保育園から申し込みを断られた場合は、個人で申し込める実施機関の研修を探してみるのも方法のひとつです。
「東京都保育士等キャリアアップ研修 指定研修実施機関一覧」のPDFファイルを開き、記載されているURLから各実施期間のホームページを確認しましょう。
キャリアアップ研修のまとめ
キャリアアップ研修には次のメリットがあります。
- 給料アップにつながる
- 保育士スキルのアップにつながる
- 転職や復職する際に有利になる
キャリアアップ研修は令和5年度(2024年4月)から段階的に必須化されます。そのため、今のうちから計画的に研修を受けておく必要があります。
転職を考えている保育士さんは、処遇改善等加算Ⅱを活用している保育園で、なるべく研修受講環境が整っている保育園を選ぶことをおすすめします。
処遇改善等加算Ⅱを活用している保育園を自力で探すのは難しいです。良い保育園は転職エージェントを利用して探すことをおすすめします。
転職エージェントについては以下の記事で解説しています。
【保育士求人の探し方】転職エージェント活用完全マニュアル【おすすめをプロが解説】